パーソナルファイナンスを学ぶ

vol.25 ~国の社会保険を学ぼう 高額療養費制度~

ケガや病気で入院などをすれば本人も辛いですが、家族の日常もいつも通りとはいかなくなってしまいますね。また「家計にかかる負担はどうなるのか」と気になるところです。そのような医療費の負担に対して一定の歯止めを設けているしくみが『高額療養費制度』です。混在しやすいものに医療費控除がありますが、これは所得税等の計算上における所得控除です。今回ご紹介する高額療養費制度は、健康保険の給付のひとつです。安心して治療に専念することができ、家計における医療費の負担を軽減する仕組みです。

■高額な医療費を支払うときも安心
ケガや病気で医療費が高額になってしまったときに、健康保険の制度では、高額療養費で払い戻しが受けられます。高額療養費は、同じ月内(1日から月末まで)でかかった医療費のうち自己負担額の額が高額になった場合に、一定の金額(自己負担限度額があります)を超えた分が払い戻されるというものです。
入院する場合は、加入している健康保険からあらかじめ「所得区分の認定証」をもらっておくと、窓口での支払いが自己負担の上限額までとなりますので、多額の入院資金を準備しなくてすみます。
自己負担限度額は、年齢や所得状況等により異なり、70歳未満の方は、所得区分において5つの区分に分けられています。(70歳以上の方は別途上限があります)

●自己負担限度額(70歳未満の方の区分) 平成28年10月現在

20161118_03
※「区分1」または「区分2」に該当する場合、市区町村民税が非課税であっても、標準報酬月額での「区分1」または「区分2」の該当となります。
※標準報酬月額は、毎月の給料などの月額を区切りのよい幅で区分したもので健康保険料の額や保険給付の額を計算します。
※多数該当は、高額の負担に月が年に3ヶ月以上ある場合の4ヶ月目以降から自己負担限度額がさらに引き下げられます。

■いくら払い戻しされる?
病院などの医療機関や薬局の窓口で支払った金額が、ひと月で一定額を超えた場合に、その超えた金額が払い戻されます。なお、入院時の食費代や個室を希望した場合の差額のベッド代などはこれに含むことはできません。

【例 年収400万円(「区分3」)の方の場合】
条件:10月に健康保険を使って窓口で支払った額 300,000円(窓口の負担が3割の場合)

・80,100円+(総医療費-267,000円)×1%で自己負担限度額を求めます。
・80,100円+(100万円-267,000円)×1%=87,430円…自己負担限度額
※実際には窓口などで支払った額しかわからないので、ここから医療費を算出するには、「窓口で支払った額÷30%」つまり「30万円÷30%=100万円」と計算できます。

・10月の窓口の支払額300,000円-自己負担限度額87,430円=212,570円…高額療養費(払い戻し)
この例のケースでは、自己負担限度額が87,430円で212,570円が払い戻されます。

20161118_02
4ヶ月目以降の自己負担の額はさらに少なくてすむようなしくみになっています。払い戻しは、受診した月から3ヶ月程度かかります。自己負担額として立て替えるのが難しい場合は無利子で貸付してもらえる制度もあります。

■家族の分を合算できる
例えば、世帯主やその子どもなど、1人ではなく世帯内で複数の方が医療機関に支払った場合も合算できます。1人がいくつかの医療機関を受診したりしても同様です。それらの合算した額が自己負担限度額を超えた場合には、超えた分の額が払い戻されます。
※世帯とは、同じ健康保険に加入している被保険者とその被扶養者の範囲をいいます。
払い戻しには受診してから2年までという時効があります。もし、心当たりがあれば加入していた健康保険に聞いてみましょう。

健康保険を利用した場合は、それほど治療費や入院費はかかりません。国の医療保険を知っておくといざという時も慌てずにすみそうですね。

x