パーソナルファイナンスを学ぶ

vol.38 ~老後に必要なお金はいくら?~

「貯蓄から資産形成へ」というスローガンを国が打ち出しました。平均寿命が延び、人生90年ともいわれる時代になりましたが、老後のお金はどのくらいかかるのでしょう。

◆平均寿命と健康寿命のはなし
生まれて0歳から何歳まで生きるのかを数字で表した平均的な年数を平均寿命といいます。毎年、厚生労働省が発表している平成27年簡易生命表によると、男性の平均寿命は80.79年、女性の平均寿命は87.05年でした。ちなみに前年と比較してみますと男性は0.29年、女性は0.22年上回っています。一方、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことを健康寿命といいます。男性は71.19歳、女性は74.21歳(平成25年)で、平均寿命と健康寿命の差は、なんらかが原因で健康ではない期間ということになります。

◆人生の自由時間は17万時間以上に
会社員あれば定年を迎えると、そのあとの人生には17万時間以上も自由時間があるということを想像できますでしょうか?定年を60歳で迎え、そこから平均余命分を時間換算してみると、男性では約17.5万時間、女性では約23.6万時間もの自由な時間が待っているのです。この自由時間という老後について考えてみましょう。

◆おおむね1億円近く必要に
老後を60歳からとすると、余命を男性は約21年、女性は約27年を生きることになります。給与などの収入を得るために働くことができる期間は限られています。人生の後半は公的年金などがおもな収入源になります。
では、老後に必要なお金はいくらかを計算してみましょう。

【例】
(1) 老後の生活費 (夫婦の場合) ※1
(夫婦) 月額支出額 284,012円×12カ月×余命21年 = 約7,157万円
(妻のみ) 月額支出額 227,209円×12カ月×余命7年 = 約1,909万円
※夫の余命を約21年とし、妻がひとりの期間を(月額支出額×80%)とした
※1 総務省「平成26年 全国消費実態調査」より支出額を参考にした
合計 約9,066万円-(1)

(2) 老後の収入 (夫婦の場合) ※2
公的年金の額200万6千円(年額)×28年=約5,617万円-(a)
※妻の余命28年に合わせた
※2 厚生労働省「平成27年 国民生活基礎調査の概況」より収入額を参考にした

その他の収入96万7000円(年額)×10年=967万円-(b)
※勤労所得が含まれるため10年とした

(a)+(b)の合計 約6,584万円-(2)

(1)支出 - (2)収入=不足2,482万円

事例では60歳時点の老後のお金について、約2,482万円が不足しています。不足する金額をあらかじめ予想して準備することもできますし、準備はせずに手元の収入に暮らし向きを合わせるという方法も考えられます。
老後に必要なお金は、平均寿命から試算すると支出は約9,000万円を超えています。よく老後の資金1億円とは耳にしますがこのように試算してみると、近い金額になりました。事例の収入計算では高齢者の勤労世帯をモデルにしています。老後は現役時代のように安定して給与収入が入るとはかぎりません。そうなると、公的年金などが大切な収入源となります。
今回の事例では病気による入院・手術などにかかる医療費や介護にかかるお金は触れていません。いつまでも健康で元気に過ごせることはなによりです。健康寿命をできるかぎり延ばして、いつまでも生き生きと暮らせるように心がけたいですね。
老後のお金について考えることは、働き世代である子育て世代の方にとっても、資産の形成や運用、または将来の働き方について考えるきっかけになりそうですね。

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