パーソナルファイナンスを学ぶ

vol.37 ~国の先進医療について学ぼう~

ここ数年の間で先進医療という言葉を耳にするようになりました。現在、先進医療に指定されているものは109種類(平成29年2月1日現在)にのぼります。今回は、先進医療について学んでみましょう。

◆先進医療ってどんな医療?
厚生労働省が認めた高度な医療技術を『先進医療』といいます。毎年、厚生労働省が見直しをしています。
どのような医療があるのかというと、例えば下記のような『重粒子線治療』という先進医療があります。

【例】重粒子線治療
重粒子線治療は、重粒子(炭素イオン)線を使った放射線治療です。日本では4施設でこの治療を扱っています(平成29年2月現在)。この治療は「切らずにがんを治す」ことで知られており、メリットは身体にやさしいがん治療という点です。人体へ負担がかからず、副作用も少ないのが特徴です。骨肉腫(こつにくしゅ)など外科療法の難しかった体内の深部のがんなど、今まで治療法がなかったがんへの治療に可能性が生まれました。

●従来の治療法
・外科療法 手術によりがん細胞を取り出す手法
・放射線治療 放射線の部分照射によってがん細胞を攻撃する手法
・化学療法 薬によってがん細胞の増殖を押さえる手法

●重粒子線治療
・切らないので通院治療が可能
・重粒子線治療の費用は約300万円 + 通常の診療費用
・血液のがんやリンパ腫など以外のがんに適用可能
先進医療は健康保険を適用できない(混合診療は可能)ことと、重粒子線治療は[治療費が高額]という事情も抱えています。
民間の生命保険会社から販売されている医療保険等に特約として「先進医療特約」が付帯できるようになりました。ここ数年で、先進医療は急速に普及され、同時に、認知もされてきています。
※重粒子治療については、医用原子力技術研究振興財団「重粒子治療ガイド」を参考にしています。

◆先進医療にかかるお金は?
先進医療を受けるときの費用は、一般的な健康保険を利用することができません。したがって、「先進医療に係る費用」は、全額自己負担することになります。

●先進医療を受けたときの費用
①「先進医療に係る費用」は、医療の種類や病院によって異なり、患者が全額自己負担することになります。
②「先進医療に係る費用」ではない部分は、一般の健康保険と同じ窓口での負担になります。一般の健康保険の診療に共通する部分は、診察・検査や投薬、入院料等があたります。

このように、一般の健康保険の診療と共通する部分は保険から給付されるので加入している健康保険制度において窓口負担を支払うことを、混合診療といわれています。なお、健康保険で支払った医療費は高額療養費制度が適用されます。

[ 混合診療のしくみ ]
(例) 会社員が1ヶ月に支払う混合診療の内訳
Aさん: 会社員(50歳)
月収: 35万円
1ヶ月の医療費: 200万円(うち先進医療の技術料が100万円)

Aさんは、先進医療の医療費としての100万円は自己負担となります。公的医療保険(健康保険)の対象となる100万円のうち、3割が窓口で負担する分(30万円)となります。
(注) Aさんのケースでは、窓口で支払う30万円は、『高額療養費制度』が適用されるので、実際の医療費の自己負担額はもっと軽減されます。


※月収とは給与所得者の場合、月々の保険料算出の基礎として用いる「標準報酬月額」を指します。
※「先進医療とは? どれくらい費用がかかる?/公益財団法人 生命保険文化センター」より

★高額療養費制度についてはこちらをご覧ください

先進医療は毎年、国が見直しをしています。いつか受けたい先進医療が健康保険の適用になる日が来るのかもしれません。家族や自身が病気などで治療をしなければならなくなったときに、先進医療の知識と医療費のしくみも知っておくことは大切なことですね。

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