パーソナルファイナンスを学ぶ

vol.95 知っておきたい!介護の知恵袋

子育て世代の家計は、子どもの教育費用や住宅ローンの返済も真っ最中ということも少なくないものです。そのような中で、親の介護が突然に始まったらどうしたらいいでしょうか。つい最近まで元気だった自分の親が突然に介護を必要になってしまう事態を日頃から想定しておくと安心です。
介護休業など利用できる制度を上手に利用したいものですが、介護離職をしたらどのくらいの影響が家計にあるものでしょうか。

◆介護の期間は平均4年7か月
厚生労働省の調べでは、介護サービスを受けている人は約600万人超にもおよぶそうです。子育てや仕事で慌ただしい毎日を送っていると、つい介護のことは後回しになりがちです。しかし、親の介護は突然やってきますので、そのための準備を早めにしておくと安心です。
同省の調べでは、介護などが必要となった主な原因として、「認知症」が最も多く、次いで多いのが「脳血管疾患」、「高齢による衰弱」、「骨折・転倒」、「関節疾患」です。介護のきっかけは加齢に伴うものが多いようです。そして、誰が介護しているのかというと、約6割が同居の親族で、そのうち子どもが2割を超えています。

そこで、気になるのが介護にかかる年数や費用です。公益財団法人生命保険文化センターの調べでは、介護期間は平均4年7か月です。つまり、約5年間は介護にかかる期間といえそうです。また、介護にかかる費用(公的介護保険サービスで自己負担した費用を含む)は、住宅をリフォームしたり、介護用のベッドを購入するなどの一時的な費用の合計が平均69万円で、月々の費用では平均7.8万円となっています。

◆家計への影響は?
公益財団法人生命保険文化センターの調べでは、親などを介護する場合に不安なことは、最も多いのが「自分の肉体的・精神的負担」と7割近くの人が回答しています。次いで「自分の時間が拘束される」、「自分の経済的負担」、「公的介護保険だけでは不十分」の順となっています。
このような不安の声があがるのとともに、実際に介護となった場合、仕事を辞めなければならないことも考えられます。
夫婦共働きでどちらかの親が介護を必要となった場合に、やむなく夫婦のいずれかが介護離職をしたら、どれくらいの家計への経済的な影響があるのか考えてみましょう。
例えば、夫婦のうち、妻が介護のため離職をした場合、仮に年間の手取り収入が400万円だとします。
介護期間の平均期間を5年間とすると、400万円×5年=2000万円です。国の制度や給付を利用することができますが、ここでは考慮しないで算出しています。
その後、妻は復職を目指すとしても、年齢によっては希望の職に就けない可能性もあります。
教育費や住宅取得資金など貯蓄も積極的にしている子育て世代では、夫婦のうちどちらかが離職してしまうということはその人の収入がそのまま家計に入ってこなくなってしまうため、その影響は大きいでしょう。

◆介護難民にならないための知恵袋
介護をする場合には、在宅で介護する方法と、施設に入所する方法があります。在宅であれば施設よりも家族の負担が多くなりがちです。介護される人の状態が重くなるにつれて介護する人の介護にかかる時間は長くなっていきます。
そこで介護に利用できる制度をまとめておきましょう。

①公的介護保険のサービス
公的介護保険は、2000年からスタートした制度で、40歳以上の人が対象です。保険料を納付している人が介護を必要になった時に、所定の介護サービスが受けられるというものです。40~64歳の人は「第2号被保険者」で、65歳以上の人は「第1号被保険者」となります。介護を必要とする親が65歳以上であれば、第1号被保険者として、介護の原因に関わらずこの制度を利用できます。ちなみに、64歳までの人(第2号被保険者)は、加齢に起因する特定の病気(16疾患/(末期がんも含まれます)。)を介護の原因となる場合に限られます。

そして、この制度のサービスを受けるためには、要介護認定を受ける必要があります。認定を受けて、「1割または2割(うち高所得者は3割)(※)」の利用料を支払うことで介護サービスを受けることができます。なお、施設サービスを利用した場合の食費や居住費、日常的な生活にかかる費用は自己負担となります。
このほかに、月々の介護サービス費の自己負担額が上限額を超えると、その超えた分が払い戻される制度もあります。
※64歳までの人(第2号被保険者)は1割負担

親が介護を必要となった時には、まずは、公的な介護保険を利用する準備をしましょう。その際に、相談にのってくれるのが、「地域包括支援センター」です。住まいのどこにあるのかあらかじめ調べておくといざというときに慌てずにすみます。

②介護休業制度を上手に使う
育児・介護休業法に基づき、「介護休業」を取得することができます。休業できる期間は対象家族1人につき、要介護状態に至るごとに3回を上限として、通算93日までです。
また、介護休業を取得した場合、雇用保険から「介護休業給付金」を要件のもとで受給することができます。給付の額は、原則として、休業開始前の給与水準の67%になります。会社から給与が支払われると給付金は減額や支給されない場合もあります。

一言に介護といっても、介護される側も、介護する側もそれぞれに、希望や事情があります。それぞれの想いに近づけるように、日頃から話し合いや準備をしておくと安心ですね。

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